ARTICLE<ディテール~巾木の話~>
- 公開日:2015.2.11
- 更新日:2022.11.4

【ディテールは小さくて大きい存在】
ディテールは細部のことです。なにごともそうですが高い完成度を目指すには細部の作り込みが重要になります。あるいは細部の詰めにその完成度が現れる、といってもいいかもしれません。
身の廻りには、細部が気に入らなくて使わなくなった道具、着なくなった洋服、手に取らなくなったグッズのなんと多いことでしょう。
物理的には小さな存在ですが全体に与える影響は思った以上に大きいのがディテール。今回はリノベーションの際に必ず登場する、そんなディテールのひとつである巾木の話です。

●巾木のバリエーション●
巾木(あるいは幅木)とは、壁と床の接点に設けられる水平の部材です。
巾木の役割のひとつは、例えばフローリングの床とプラスターボードにクロスを張った壁などの異なる部材がぶつかる接点で、相互の部材の切断面のばらつきなどを隠して納めるという機能があります。
巾木のもうひとつの役割は、掃除機や家具が当たって傷などがつきやすい壁の下部を保護することです。
最近の分譲マンションでは普通は、MDF(木材チップを板状に整形したもの)にオレフィンシートなどを張った高さ50~60ミリの溝つきの巾木が壁の上から取り付けられているのが一般的だと思われます。いわゆる出巾木(ではばき)と呼ばれるディテールです。
巾木に関してはこの出巾木のほかにさまざまなディテールが考えられてきました。
面巾木(つらはばき)は、巾木と壁面が同一の面となるように巾木を取り付けたものです。入巾木(いりはばき)は、巾木を少し壁面から引っ込んだ位置に取り付けたものです。

いずれも出巾木に比べると巾木の存在が目立たなくなり、特に巾木と壁を同色のカラーにすると床と壁がぶつかる入り隅のラインがよりすっきりと見える納まりです。ただし、面巾木や入巾木とするためには壁のプラスターボードをニ重張りにするなどの施工上の一手間が必要になります。
巾木の高さや形状もさまざまなバリエーションがあります。
巾木の高さを40ミリ程度に抑えて横のラインをよりスリムに見せるディテールや逆に高さを120ミリや140ミリとして建具枠とともに壁面を構成するひとつのエレメントとしてしっかりした存在として見せるというディテールも考えられます。
また、溝の凹凸がないフラット面状のシンプルな巾木やヨーロッパなどでよく見られる凝った装飾を施した巾木など形状やデザインも多彩です。
●あえて巾木なしとする選択も●
壁と床が取り合い部分をうまく納め、壁面を保護する目的もある巾木ですが、空間の隅をもっとシンプルに見せたい場合は、あえて巾木なしというディテールとすることも考えられます。
巾木なしのディテールは、壁と床が一本の線で納まるすっきりとした美しさを実現できる一方で、日常の生活では家具や掃除機などが当たらないように気をつけることが求めれることや、万一壁に汚れや傷がついた場合、きれいに修復しようと思うと壁のボードまるまる1枚分を交換する必要があるなどのデメリットも良く理解のうえで選択する必要があります。
とはいえ、汚れや傷なども住まいの味のひとつ、という見方もできるわけで、なにを優先するかは住み手次第といえます。
ディテールは機能だけではありません。機能よりも強いこだわりを反映したディテールによって満足度の高い空間や美的空間を実現することもありうるところがディテールの面白いところです。